施術後、悪くなった! (資格取得一年目の冬)

T氏   「腰と左膝が痛くなったのでお願いします」 

      T氏は五十代、デスクワークの管理職。
      降圧剤を10年来服用しているがいたって健康と言う。
      体格がよく野球やゴルフが趣味。

鍼灸師 「いつもと違う事を何かなさったの?」
T氏   「ちよっと、遠出をしたんですよ。 1日中運転したから、そのせいかなあ」
鍼灸師 「鍼やお灸をした事ありますか?」
T氏   「ないですよ」
鍼灸師 「元来がご健康だから、軽く治療しただけで、ご自分の治す力で、
      早く良くなるかもしれませんね」

      生まれて初めての鍼ということで緊張しておられるようだったが、
      体力があると見て以下の施術をlする。
      腹部と背部に接触鍼。
      7ヵ所に鍼をして9ヵ所にお灸を2〜3壮づつすえる。(下記参照)

      出張治療から帰って1時間くらいして、電話あり。
T氏   「よけいに重だるくなっちゃったから、見て欲しいんだけど」
  
      すっとんで行く。

      深く刺した所も無いし、危険な所にも刺さなかったし・・・・・
      初めての人に対して過剰刺激になったのかな―と反省しながら
      だからこれ以上、鍼刺したりお灸すえたらよけいに疲れるだろうし
      どうしよう、鍼でもないし、灸でもないし、困ったわぁ、どうしよう。
      でも.何かしなっくっちゃ、患者の気持ちとしては 「何かしてぇー」なのだから・
      グズグズしていたら患者の心配はつのるのだろうから。

      すぐ鍼を手に、
      腹部・背部に鍼は刺さずに数ヵ所、丁寧にゆっくりと、
      接触させるだけにする。
      膝の痛む方の足の指を祈るような気持ちで両手で優しくなでさする。
      「気を巡らせることが基本です」とおっしゃった恩師の言葉に縋る思いで。

      患者の体が汗ばんで来たので、終わりとした。

      次の日、「良くなったよ」とわざわざお礼を言いに来て下さいました。

      ああ、良かった

      施術個所
       鍼・・・・・ 足の三里、委中、次りょう、左臀部梨状筋部   寸3−3 単刺
       灸・・・・・ 照海、失眠、曲池、左鶴頂、左膝眼        各2〜3壮

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